目的

マッスルインバランスの考え方による評価および治療方法について臨床で実施できるようになる。

講義概要

腰痛や、股関節、膝関節痛など運動器疼痛症候群は明らかな外傷や、腫瘍、感染症などレッドフラッグを除けばその人の長年の姿勢や生活習慣、職業、スポーツなどが特定の組織に物理的ストレスが繰り返し、または持続的にかかることによる累積加重型損傷が多い。

姿勢アライメントの異常や異常な運動パターンによる特定の筋の過剰使用は、その筋の過緊張を起こし短縮傾向になる。

一方、過緊張筋の拮抗筋は相反抑制の影響を受け、弱化の傾向に陥る。このマッスルインバランスがまた姿勢アライメント異常をつくりだし、正常な運動パターンを変化させるという悪循環をおこす。

痛みにある場所を治療し患者の訴えが一時的に改善したとしても原因となっている異常姿勢アライメントや異常な運動パターンを改善しなければまた再発を起こす。

関節や、筋、神経というハードウエア―の治療で終わらずに姿勢や運動パターンの修正という脳のソフトウエアーの治療が必要である。

痛みのある場所を治療するだけでなく、その痛みの原因となる物理的ストレスを評価により見つけ出し治療しなければ再発を防ぐことはできない。

理学療法は標準化された再現性のある評価方法が必要でありまた特殊な技術や難しい手技ではなく新人でもできる標準的で再現性のあるアプローチが必要である。

今回は運動器疾患に対して基本的な評価方法と過緊張筋抑制のためのテクニック、弱化筋の活性化エクササイズ、運動パターン修正エクササイズについて研修する。

講師プロフィール

学歴

昭和53年 3月 国立療養所近畿中央病院付属リハビリテーション学院理学療法学科卒
平成13年 3月 放送大学 卒

職歴

昭和53年4月 神奈川リハビリテーションセンター 七沢老人リハビリテーション病院
昭和54年10月 石川県立中央病院
平成元年4月 小松市民病院
平成5年4月 石川県衛生総務課(リハビリテーションセンター開設準備室)
平成6年10月 石川県リハビリテーションセンター
平成27年4月 石川県立いしかわ特別支援学校
平成28年4月 石川県立明和特別支援学校
令和2年4月 PTオフィス荒木

資格

理学療法士、鍼灸師、マッサージ師
ボバース法成人片麻痺コース、脳性麻痺8週間コース終了
Schroth法国際認定セラピスト
Certified Movement Links Specialist (MLS)

著書

1.荒木 茂:理学療法士列伝 マッスルインバランスの考え方による腰痛症の評価と治療、三輪書店、2012
2.荒木 茂:マッスルインバランスの理学療法、運動と医学の出版社、2018
3.荒木 茂:マッスルインバランス改善のための機能的運動療法ガイドブック、運動と医学の出版社、2020

DVD

荒木 茂他:マッスルンバランスの考え方による腰痛症の評価と治療(全4巻)、ジャパンライム、2011.